兄弟姉妹について

 我が家のでこぽん長女には5歳年下の妹がいる。こちらは特に問題を指摘されることもなく成長してきた。

 ハンディキャップを持つ兄弟姉妹がいるということは、日常生活だけでなく自分の人生にも大きな影響を受けてしまう。一緒に暮らしている家族から、私たちは当然影響を受けているわけだが、その家族がいわゆる世間一般の平均値から大きく外れているという場合、物理的にも心理的にもそのインパクトは大きい。

 まず、行動の規制がある。家族単位で活動する際、一番弱い立場の構成員を考慮した行動になりがちだが、通常一番年下の子供が基準になるところ、年齢に関係なくハンディのある子供が基準になりがちだ。例えば妹がサーカスに行きたがった時、それを実現するかどうかは、音響や光に姉が耐えられるだろうか、ということが判断基準になってくる。その結果、サーカスという選択肢を排除したり、妹だけを別の日に連れていこうとなったり、家族全員で行って、いざという時には片方の親が姉と共に即帰宅するという計画をたてたりすることになる。つまり経済的、時間的な条件以外のところで、行動が規制されてしまう。他にも兄弟の療育の予定が優先されたり、兄弟姉妹がいるために家に友達を呼べないといったこともある。

 また、兄弟姉妹の状態が一般的な平均値からはずれているということは、ある程度の年齢になれば明確になる。学校で「〇〇ちゃんのお兄ちゃんはなんでこうなの?」と聞かれたり、自分の妹が友達の妹の様子と違うことに気づいたりする。年齢が上がるにつれ、障害のことも少しずつ知るようになってくる。そして兄弟姉妹を恥ずかしいと感じたり、自分が守らないといけないと思ったり、他の家庭をうらやんだり、子供なりの悟りの境地に入ったりする。日常生活の中で親が苦労しているのを見ているので、「手のかからないよい子」になる傾向もある。我が家の次女も、小学校の成績表でいつも「Mature(考え方が成熟している)」と書かれていた。でもこれは自分の本心を押し殺していたことの表れでもある。

 我が家では、幼少期には非常に仲の良い姉妹だったのだが、姉が思春期に入るころからパニックを起こすようになり、それに巻き込まれたトラウマがいまだに根強い。年齢が近ければ別のアプローチもできたのだろうが、小学生にとってはただただ恐怖だった。姉の受け入れ先がなかった時は、自分が寮に送り込まれていたというしんどい経験もある。姉がグループホームに入った今、姉とは距離を置いている。ビデオ越しにメッセージを送ることはあるが、直接会うことはほとんどない。かといって姉のことを抹消しているわけでもない。身の回りで自閉症について誤った言説を聞いたり、軽い感じで「自分自閉症だからさ~」みたいなことを言われると世間の無理解に憤慨している。姉に送るプレゼントを選ぶ手伝いをしてくれたりもする。

 我が家の姉妹の関係がこの先どうなっていくのかはわからないが、少なくとも親として、姉の人生を妹に背負わすことはしたくないと思っている。妹にも「お姉ちゃんの面倒をあなたが見る必要ないから」とも言っている。もちろん、本人が望んでそうするというのなら別だが、強制も誘導もする気はないし、妹は妹の人生を歩んでいってほしい。いつかまた姉妹が、たまには一緒に穏やかにお茶でも飲める日が来ることを心の奥底で期待しつつ、子供たちがそれぞれの場所で満足した生活ができることを願っている。

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